【第4回】社会福祉法人の評議員会とは?

【第4回】社会福祉法人の評議員会とは?

2026.02.09

【第4回】社会福祉法人の評議員会とは?
ココ+ナビ

理事長・施設長様
株式会社幼保支援 法人運営支援/施設DX推進担当の大田黒です。
年度末の足音が聞こえてくると、現場の書類業務も一気に慌ただしくなりますよね。特に、理事会が終わったかと思えばすぐにやってくる「評議員会」今回は、ともすれば形式的になりがちな評議員会を、実りある場にするためのポイントと、絶対に押さえておくべき実務のツボを解説します。


目次

はじめに:評議員会の役割、実は理事会よりも強い?

運営の実務:招集から開催日までの流れ

ここが落とし穴! 便利なみなし決議

最後に:形式的な会議を卒業し、未来を語る場へ


1. はじめに:評議員会の役割、実は理事会よりも強い?

2017年の社会福祉法人改革で、評議員会は単なる相談役から「議決機関」へと格上げされました。

これは株式会社でいうところの「株主総会」にあたります。

評議員会は、理事会の下部組織ではありません。ある意味では、理事会よりも上位にあります。 なぜなら、以下の重要事項は、理事会だけで決めることができず、必ず評議員会の承認が必要だからです。

・役員(理事・監事)の選任・解任 

・定款の変更

・計算書類(決算)の承認

・役員報酬の決定

・社会福祉充実計画の承認

・解散・合併の承認

つまり、評議員会が「NO」と言えば、理事は選ばれないし、決算も確定しないし、合併もできないのです。制度の意図は「牽制とバランス」にあります。社会福祉法人において、理事が独走しないようにチェックする機能、それが評議員会のミッションです。


2. 運営の実務:招集から開催日までの流れ

では、具体的な実務を見ていきましょう。評議員会の運営は、法律で厳格にルールが決まっています。

1. 招集通知は「1週間前」

理事長(招集権者)は、原則として会議の1週間前(中7日開ける)までに招集通知を発出する必要があります。

ポイント: 決算書の承認を行う際には、理事会で決議をおこなってから中2週間開ける必要があります。この期間は短縮できません。その場合の招集通知は1週間前で大丈夫です。

2. 資料は「事前に・分かりやすく」

評議員は普段、現場にいません。分厚い資料を当日渡されても読み込むので精一杯です。極力事前に渡しましょう。

ポイント:資料を事前送付することで、当日の説明時間が短縮でき、アドバイスをもらいやすくなります。また、決算書の承認を行う際には、事前に決算資料の提供が必須です。

3. 「報告」と「決議」を明確に分ける

議事進行では、何が「報告事項(聞くだけでいいこと)」で、何が「決議事項(承認が必要なこと)」なのかを明確にします。ここが曖昧だと、議事録を作成する際に苦労することになります。


3. ここが落とし穴! みなし決議

実務で特によくある質問が「みなし決議(決議の省略)」についてです。

「みなし決議」は使いどころを見極める
評議員全員が書面等で同意すれば、会議を開催せずに決議とみなすことができます。 制度上の制限はありませんが、ガバナンスの問題から多用する際には考える必要があります。

OKな例

・定款の軽微な変更

・時期外れの補欠役員の選任

避けるべき例

・決算の承認

・役員改選

・その他、評議員会決議が必要な法人の重要事項

これらは法人の根幹に関わるため、対面(Web会議含む)で説明責任を果たすべきです。行政監査でも「重要事項をすべて書面決議で済ませているのは、実質的な議論をしていないのでは?」と質問される可能性があります。

「定款の軽微な変更(住所表記の修正など)」などは、みなし決議で効率的に処理し、 「重要事項は対面で、軽微な案件は書面で」という進め方がお勧めです。

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理事会同様、監査の際には議事録をよく見られます。
作成の手間を省略するために、前年度の議事録をコピペされる法人がほとんどですが、年度が古いままになっていたり、役員が古いままだったり、削除し忘れた文言が有ったりとコピペ特有の課題がありますので、ご注意ください。


4. 最後に:形式的な会議を卒業し、未来を語る場へ

社会福祉法人改革以降、評議員会の重要性は増すばかりです。しかし、多くの現場では「法令違反にならないように開催するだけ」の場になってしまっているのが実情ではないでしょうか。

今回ご紹介したように、重要な決議事項は対面でしっかりと議論し、軽微な変更は「みなし決議」でスマートに処理する。あるいは、事前資料の送付をデジタル化して、当日は説明よりも質疑応答に時間を割く。 こうした「運営のメリハリ」をつけることは、単なる業務効率化(DX)にとどまらず、法人の意思決定スピードを上げ、より良い施設運営へと直結します。

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決算処理の繁忙期、先生方が居残りながら作成されていることは痛いほど分かります。だからこそ、「頑張って作ったのに、形式的なミスで信頼を損なう」という事態は、何としても避けていただきたいです。


大田黒 健太 法人運営支援・施設DX推進

Kenta Ootaguro

熊本出身
法人運営支援を主として、ICTシステム導入・認可申請支援・WEBサイト企画・認定こども園移行支援等、保育事業の幅広い支援をおこなう。

社会福祉法人支援システム ココ+ナビ プロジェクトリーダー